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社寺参詣 [いまさら読書]


江戸時代、伊勢には正規の神職のほかに御師とよばれる人々がおり、全国各地を、暦やお札を売り歩いて廻ったり、伊勢講の人々に請われて、ツアーコンダクターとして伊勢までの案内をしたり、伊勢で宿坊を経営して人々を宿泊させたりしていました。
しかし明治になり、国家神道が成立すると、身分上は民間人であった御師の制度は廃止され、御師に代わって鉄道が、伊勢参りを主導するようになります。
まず明治初期の第一次鉄道ブームの際には、関西鉄道の津から分岐していまの伊勢市に達する参宮鉄道が開業し、関西鉄道と連携して参宮輸送を開始します。
次いで鉄道国有化法によって参宮鉄道や関西鉄道が国鉄となった後は、明治後期から大正期の第二次鉄道ブームに勃興した大阪電気軌道が、昭和に入って系列の参宮急行電鉄を経て宇治山田に到達して参宮輸送を担うことになります。
この本では、日本の近代化の象徴であった鉄道が、明治から昭和の初めにかけて、実は江戸以来の社寺参詣という昔ながらの行事にも大きく関わってきただけでなく、その変化をも促してきたことを、参急のほか、様々な事例を挙げて紹介しています。

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