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京阪梅田線(その7) [夢のあと]

 西大寺から急行で生駒へ。
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 近鉄奈良線乗り入れの阪神1000系と並んでいるのは、けいはんな線乗り入れの大阪市営地下鉄中央線20系です。いよいよ大阪が近くなってきました。
 コスモスクエア行きの地下鉄の電車は、駅を出るとすぐ生駒トンネルに吸い込まれてゆきます。
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 このけいはんな線の生駒トンネル、生駒側の坑口付近は、大軌の旧生駒トンネルを改築したもの。暗くて判りにくいですが、コンクリート製の内壁の外側、矢印のところに旧トンネルのものとおぼしき石積みが。
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 今回の寄り道の目的、実はこの旧生駒トンネルです。
 大阪電気軌道(大軌)は、明治末の電気鉄道の建設ブームに乗って計画され、ルートがいろいろと検討されましたが、計画を主導していた北浜銀行頭取の岩下清周は、生駒山地の南側を迂回している鉄道省鉄道院(修正します)の関西線、北側を迂回している片町線や、あるいは後に現れるかもしれない新たな鉄道計画に対するアドバンテージを担保するために、生駒山地を貫通する最短のルートを主張。この主張に沿って旧生駒トンネルの建設が決定されました。
 施工は、小林一三の箕有電軌などと同様に岩下が支援していた、大林芳五郎の大林組が担当して1911(明治44)年に着工。工事は、当初は順調に進行しますが断層帯に突入して進行速度が低下し、1913(大正2)年1月にはついに落盤事故が発生して多数の犠牲者を出してしまいます。
 これらの困難を乗り越えて、トンネルは1914(大正3)年4月に漸く貫通、大軌も同月に開業しますが、それまでに要した費用は実に大軌の資本金と同額にまで達し、先にご紹介しましたように北浜銀行、そして岩下個人のスキャンダルに発展して岩下は失脚してしまいます。岩下は立憲政友会の原敬と近く、しかも無所属ながらも衆議院議員であったため、対立政党から睨まれて政争の標的とされた、というのが真相のようです。 
 阪神9000系の普通難波行きに乗って石切着。
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 石切駅の北改札を出て少し上ると、今日は霞んでいますが大阪の街が一望に見渡せます。
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 さらに、最近できたらしい新興住宅街(「天空の町」と呼ばれているようです)の中の坂を上ると、その奥に見えてきたのは生駒変電所。
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 今も現役で奈良線やけいはんな線に送電しています。
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 そしてその隣には、旧生駒トンネルの大阪側の坑口と旧孔舎衙坂駅のホームが。
 左が奈良方面、右が大阪方面のホーム、そして間の舗装道路が線路跡。
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 旧生駒トンネルの大阪側坑口。
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 架線柱。
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 この旧生駒トンネルの大阪側は、けいはんな線生駒トンネルへの高圧電力の送電路として、あるいはトンネルに出入りする作業用の通路、避難路として今も活用されており、岩下の夢の名残を留めているようです。

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コメント 6

hideta-o

シルフさま
nice!ありがとうございます。
by hideta-o (2016-05-15 22:08) 

ワンモア

阪神1000系、黒の塗装、精悍でカッコいいですね(^o^)
by ワンモア (2016-05-15 23:47) 

hideta-o

ワンモアさま
阪神1000系ですが、黒とオレンジの組み合わせが「何でジャイアンツカラーなんや!」と阪神ファン(野球の)の間で物議を醸したようです。
by hideta-o (2016-05-16 13:08) 

Cedar

旧生駒トンネル時代の奈良線には間に合いませんでした。奈良市内の併用軌道をベージュに青帯の大形車が走る時代でした。
by Cedar (2016-05-21 04:33) 

hideta-o

Cedarさま
 私が近鉄で思い出すのは、ご存知のまぢにゃん氏が近鉄電車の大ファンで、高校時代に何度か撮影に連れて行ってもらったことですね。その頃は、既に大型車は近鉄マルーン一色でしたし、旧生駒トンネル用として最後に製造された820系は生駒線ローカルに入っていましたが、それも懐かしい思い出になってしまいました。
by hideta-o (2016-05-21 15:56) 

やまとじ207

旧生駒トンネル奈良側の坑口、生駒駅出て保育所?の近くまで行って有料駐車場の端から見るとレンガ積みを確認できます。ただ保育所?の人に変な目で見られますw
by やまとじ207 (2022-12-04 10:22) 

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