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パシフィック231 (その2) [アーカイブ]

 SNCFの蒸気機関車の形式について説明する。SNCFにおける蒸気機関車の形式の付け方は、周知のように軸配置を基本としている。例えばパシ(先軸2軸、動軸3軸、従軸1軸)であれば「231」、ミカドであれば「141」、 デカポットであれば「150」といった具合である。そして、同じ軸配置の2種以上の機関車を231A、231B…という風にアルファベットを付けて分類しているというのが、一般的な理解であると思われるが、 SNCFの母体となった旧5大鉄道の機関車については、それだけでは不十分である。
 1938年に旧5大鉄道が統合されてSNCFが発足した際、上の法則に則って、その時点で各鉄道に所属していた機関車を、それぞれの鉄道を受け継いだ管理局ごと(!!)に、アルファベットを付けて分類したのである。 そのため各管理局ごとに、例えば231Aという全く違う機関車が存在することになったのである。
 231Aを例にとって更に説明すると、旧POに相当する南西(SUD-OUEST)管理局の231Aは、POの技師長であったA.シャプロンの手になる改造よって性能が飛躍的に向上したことで有名な、 いわゆるシャプロンパシの改造のネタになった古いパシのうち、統合時までに改造されずに残っていた機関車を指し、旧ETATに相当する西(OUEST)管理局の231Aは、 第一次世界大戦の戦時賠償によってフランスに持ち込まれた旧バイエルン王立鉄道のS3/6型および旧ヴュルテンベルク王立鉄道のC型を指す。また、その他の管理局では、 それぞれの旧鉄道時代に製造され、統合時に残っていた一番古いパシに231Aの形式が付けられている。そのため、どの管理局の231Aであるかを明確にしないと、目的とする機関車を特定できないのである。
 その特定のためには、各管理局ごとに付された管理局番号を明記する必要がある。機関車の前梁に、四角の枠つきで記載されたあの番号である。管理局番号は下記のとおり。
 1:東(EST)管理局(旧EST鉄道)
 2:北(NORD)管理局(旧NORD鉄道)
 3:西(OUEST)管理局(旧ETAT鉄道)
 4:南西(SUD-OUEST)管理局(旧PO-MIDI鉄道)
 5:南東(SUD-EST)管理局(旧PLM鉄道)
 6:地中海(MEDITERRANEE)管理局(旧PLM鉄道)
 例えばシャプロンパシのうち、1960年代後半までFleche D'orを牽引する等して活躍した231Eは北管理局に属する機関車であるため、 (その1)で記載したように2-231Eと標記する必要がある。単に231Eとしただけでは、他の管理局の、全く違う機関車が出てくる可能性があるのである。 ちなみにシャプロンパシは、NORDおよび本家のPOだけでなくESTでも採用されており、POのものは、改造の仕様の違いによって4-231Fおよび4-231Hに分類され、 ESTのものは1-231Cという形式が付されている。(2007.12.13記す)
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