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雨(つづき) [機関区]

 もうひとつ、雨で思い浮かぶのが日米の降雨量の違い。鉄道車両を見ていますと、米国の降雨量が日本に比べて大幅に少ないことがよく判ります。
 たとえば、GE製のED11
nag15.JPG
やED14
nag39.JPG
の、原型の前面窓が小さかったのは、米国流に、機関士は側窓を開き、上半身を外へ乗り出して運転することを想定していたからです。蒸気機関車時代の名残りといえます。
 ところが、雨の多い日本では、運転台に雨が降り込んできて大変でした。このことは、日高冬比古氏が鉄道ファン1965年5月号7月号に寄稿された「戦前戦中の国産電気機関車(日高冬比古の電気機関車発達史9)」の「ED16」の項
http://ktymtskz.my.coocan.jp/yuge/hidaka9.htm#2
の記載からも読み取ることができます。
 すなわち、新製したED16
ED16-1.JPG
を1931年7月に中央線で試運転した際の報告書の中に「試験中雨が降ったが運転室に降り込まなかった」との報告があることが記載されています。
 このとき、先任として中央線にいたのは他ならぬED14でしたので、運転中に雨が降り込んでいたのがED14であったことは疑いありません。
 ED11とED14の前面窓
nag38.JPG
が今見るように改造されたのは、運転室内からの前方視界を確保して、側窓を閉じても運転できるようにするためでした。
 また、米国の鉄道車両のブレーキは、多くは片押し式でした。あの巨大なパシフィックエレクトリック(PE)のブリンプでさえそうでした。米国は日本より雨が少なく、空気が乾燥していてブレーキが効きやすかったためと思われます。
 そのため、同時期に輸入された欧州製の電気機関車のブレーキが、いずれも両抱き式であったのに対し、GE製のED11やED14だけでなく、WH製のED10、ED53、EF51も、ブレーキは片押し式でした。
ED19-1.JPG
 また、ボールドウィン製やブリル製の電車用台車も、初期に輸入されたものは、いずれもブレーキが片押し式でした。しかしその後、路面電車用を除いて、高速鉄道用の台車としては、両抱き式が採用されることが多くなってゆきます。やはりブレーキの利きが問題となったようです。たとえば、新京阪鉄道がP6用として2両分だけ採用したブリル27-MCB-4X台車
hankyu02.jpg
は、輸入時は内側片押し式であったブレーキ機構を、日本製鋼所で両抱き式に改造の上で納入されています。そのため、ご覧のように外側のブレーキ機構がとってつけたような状態になっています。
 "雨"はこちら
http://ho-blog.blog.so-net.ne.jp/2017-07-09
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コメント 2

hanamura

リニア鉄道館でED11を確認してきます。
by hanamura (2017-07-17 06:19) 

Cedar

ELのブレーキまでも片押し式だったとは、こりゃ不勉強でした。
電車はエレクトロライナーくらいしか両押し式は無いですけど。
by Cedar (2017-07-25 10:25) 

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