SSブログ

阪和天王寺 [大ターミナル主義]

JR阪和線天王寺駅
 私鉄ターミナルを紹介するこのコーナーの初回に、あえてJRの駅を選んだのには理由がある。写真をご覧頂きたい。大阪市内に残る唯一の大鉄傘である。

ten1.jpg

 阪和線の天王寺駅は、よく知られているように元々は私鉄の阪和電気鉄道の手によって開業された暦とした私鉄ターミナルの一つであり、南海山手線天王寺駅となった後、国有化されて国鉄天王寺駅の一部となったため、早くに大ターミナル主義から外れてしまった。そのため天王寺駅の改良は小規模に留まり、今もこの大屋根が残っているという次第。もともとのガラス張りはその後の改修でスレートとプラスチックの波板になってしまったが、大鉄傘を支える鉄骨構造は今も健在である。

ten2.jpg

 かつての天王寺駅は、美章園寄りの降車ホームと終端の乗車ホームとに分かれ、和歌山方面から到着した電車は一旦、手前の降車ホームで停車して乗客を降ろした後、乗車ホームに進入して乗客を乗せるという特殊な構造を有していた。同様の構造を有するターミナルとしては、他に大軌(近鉄)奈良線上本町駅、京阪天満橋駅があった。
 降車ホームで降りた乗客は地下道を通って駅外へ導かれた。その地下道も現存している。今は駅の南北を繋ぐ一般通路として利用されている。

ten3.jpg
ten4.jpg

 また6番ホームの下には部屋があるらしく、明かり取りの窓が並んでいる。この窓も、その古風な造りからすると阪和天王寺駅の遺構と思われる。

ten5.jpg

 現在の阪和線天王寺駅は5面5線の櫛型ホーム頭端式で、今もターミナルとしての立派な陣容を備えている。しかし最近は、駅東側にできた関西線との短絡線を通って大阪環状線に直通する電車が増え、その分、阪和線ホームを発着する電車が少なくなってしまった(特に南紀直通の特急の発着は殆どなくなってしまった)ため、少しさびしくなった。
(訂正)
 降車ホームの地下通路の位置について疑問を感じたためいろいろ調べたところ、紹介した地下通路は、近鉄阿部野橋駅(http://ho-blog.blog.so-net.ne.jp/2009-04-01)のところで紹介した庚申街道に通じる一般通路であることが判明した。降車ホームと通じていた本当の地下通路は、ホームの下を線路と平行に西方向に伸びて、現在の駅前広場に達していたらしい。
 ということは、6番ホームの下に発見した明かり取りの窓の内側に問題の地下通路の跡があるのかもしれない(2008年4月2日記す)。
nice!(0) 

nice! 0

大ターミナル主義近鉄阿部野橋 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。