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もう一つの雲 [坂の上の]

 福島の事故以来、電力会社に関するニュースがネットやテレビ、新聞などで取り上げられない日はない。
 そんなニュースを見たり読んだりしているうちに、現在の9電力体制がどのようにできあがってきたのか知りたくなり、電力事業の歴史について調べていくうちに3人の人物が浮かび上がってきた。福澤桃介、松永安左衛門、そして小林一三である。
 このうち小林は、ご存知のとおり阪急電鉄の実質的な創設者、そして阪急文化の提唱者、指導者として有名であるが、第二次世界大戦前には、電力業界においても重きをなしていた時期がある。
 いずれにせよこの三人は慶応義塾の先輩後輩であり、特に福澤と松永は、お神酒徳利のように二人で一緒になって様々な事業に手を出し、その中で電気の将来性に着目して日本各地で電力会社を創業して、やがて電力王と称されるようになる。
 そんな三人を含む、およそ維新前後から第二次大戦前までの間に活躍した経済人、産業人を描いたのが、

 この本の面白いところは、一人ずつ個別に評伝を述べるのではなく、あたかも群像劇として、同時進行的に、そのときだれがだれと連係し、あるいは反目しながら活動していたかを記述した点にある。まるで「坂の上の雲」のようである。
 特に福澤桃介は、奇しくも坂の上の雲の主人公の一人である秋山真之と同じ1868年に生まれている(ちなみにロシア皇帝ニコライ2世も同い年である)。まさに同時代人であり、同じ頃に、坂の上の一朶の雲を目指して坂を上りつつあった一人といえよう。
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