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N貨車 [N貨車]

貨車79.JPG
先日SNSで、N貨車の記事を見た古い友人のまぢにゃん氏から貨車が好きかとか問われ、途中を飛ばして「安いから」と答えたのですが、その途中の経緯を。
はっきり言ってしまえば、実物の貨車にはそんなに興味はありません。
プラ貨車の変遷に鉄道模型考古学的な興味があって、集めているというのが正しいでしょうか。
たとえば、冒頭写真の左はトミーナインスケールのワム23000、右は現行のTomixのワム90000で、本来、足回りが違うだけの同系の貨車なので、同じ車体であるはずですが、金型が違うため、長さも高さも、そしてディテールも全く異なっています。製造も、トミーナインスケールが香港製で、現行のTomixが日本製です。
最初のトミーナインスケールの発売からおよそ50年の間に、様々な変遷があったことが窺えます。
こうした変遷を、実際に物を集めて比較するのが好きで、このことは以前
https://ho-blog.blog.ss-blog.jp/2018-02-22
に書いたライカ型カメラなどの場合と同様です。
製品の変遷を比較するなら、機関車や電車、客車でもよいかもしれませんが、中でもいちばん安くてしかもかさばらないので、主に2軸貨車を集めているというのが実情で、そのため冒頭の問いの答えが「安いから」になったという次第。
ちなみに冒頭写真のワムの場合、現行品がスケールどおりで、ナインスケールはそれより車長が長く車高が低くなっていますが、この原因の一つが「陸蒸気からひかりまで」にあるのではないかと私は考えています。
日本型Nゲージの創始と同時期に刊行された「陸蒸気…」は、Nゲージのメーカーにとっても重要な資料であったに違いなく、その功績は計り知れないものがあります。
しかし、とくに多品種を発売する必要のあった貨車については、正式な図面を参照せずに「陸蒸気…」のイラストだけを見て造られたのではないかと思われる節があります。
貨車80.JPG
そして「陸蒸気…」では、ご覧のように、ワム23000は2ページにまたがって描かれており、綴じ代を考慮してか、実測しますと、車長がスケールよりも長くなっているのです。また、車高は明らかに「陸蒸気…」の間違いで、スケールよりも低く描かれているのですが、トミーナインスケールのワムはそれと一致します。
ワム23000については、香港のメーカーがこのエラーに気づかずに模型化したのではないでしょうか。
貨車が、「陸蒸気…」のイラストだけを見て造られたのではないかということは、トミーナインスケールのワム50000の事例からも推測されます。
ワム50000は、戦時仕様でワム23000を木造化したもので、車長、車高ともワム23000と同じはずであり、「陸蒸気…」でも、別のページにスケールどおりの車長と車高で描かれています。
そしてワム23000と同時期に製品化されたトミーナインスケールのワム50000も、ワム23000とは違って、スケールどおりの車長と車高で造られています。







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コメント 3

匿名希望

『陸蒸気~』は先日古本でようやく入手できたのですが、そんな罠があったのですね。珍車でもないのになんでこんなエラーになってしまったんでしょう?
あと香港時代のトミーの貨車の造形は天賞堂やエンドウの(おおらかな時代の)HO貨車の造形の影響を受けたのではないかという話もありますね。
車種選定等に共通点があるようです。

by 匿名希望 (2021-03-09 10:33) 

hideta-o

匿名希望さま
ご訪問ありがとうございます。「陸蒸気…」については、そうしたミスもあるものの、鉄道車両の図面が簡単に手に入らなかった時代に果たした功績は計り知れないと考えています。私もどれだけお世話になったことか…。もっとも、その割に完成した車両は殆どありませんが^_^;
それとトミーのラインナップが天賞堂やエンドウに似ているのは、これら先行の16番の車両を参考にしたためではないでしょうか。
by hideta-o (2021-03-12 20:41) 

hideta-o

nice!をいただいた皆様、ありがとうございます。
by hideta-o (2021-03-12 20:47) 

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