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三条大橋東詰の乱(その4) [夢のあと]

京都市vs京阪vs京都電燈
京阪本線が三条まで開通すると、先に書きましたように、四条、七条および伏見稲荷で平面交差する京都市電との交通障害が問題となります。
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すなわち四条および七条では、道路上の市電および諸車の交通を、新設軌道の京阪電車が通過するたびに遮ることになり、また伏見稲荷では、新設軌道同士の平面交差において実際に何度か衝突事故も発生しています。
これを問題視した京都市会では、京阪との20年の貸借契約を延長せず、契約終了後は、五条-三条間を京都市に返納させて、市電路線として利用すべしとの議論が起こります。
しかし京阪側からすれば、三条からの撤退はありえないことであり、これを回避するために、京津電気軌道との連携による阪津間連絡という新しい大義名分を提唱します。
そしてその一環として、京阪は京津の買収に乗り出しますが、同社の買収には、京都電燈も名乗りを上げます。
京都電燈の目的は、京津の軌道事業よりも、同社が沿線で経営していた配電事業にあったようで、協議の末、1924年に軌道事業は京阪、配電事業は京都電燈が買収して、京津電気軌道は解散します。
そして京阪は、三条で両社の路線を接続するとともに直通車両60形びわこ号(冒頭写真)を開発し、貸借期間の最終年である1934年に、天満橋-浜大津直通の特急の運行を開始して、貸借契約の延長にこぎつけます。(この項つづく)

地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み:関西1 阪神・阪急・京阪

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コメント 7

Take-Zee

こんにちは!
やはり平面交差は事故が起きやすいんですね!

by Take-Zee (2020-03-22 14:50) 

hideta-o

Take-Zeeさま
ご訪問ありがとうございます。路面電車同士の、交差点での平面交差なら、自動車などと同じで交通信号に従って通過しますし、交差点の手前には必ず停留所があって停車しますので、安全でした。
また路面電車と鉄道の平面交差の場合は、鉄道の踏切に該当し、路面電車は、踏切が閉まれば停車するので、やはり安全でした。
しかし伏見稲荷の平面交差は、新設軌道(専用軌道)同士の交差で、しかも1910年の開業当初、京阪本線には閉塞信号がなかったため(閉塞信号が設置されたのは1915年)、衝突事故が発生したものと思われます。閉塞信号が設置され、また事故の教訓を踏まえて脱線ポイントなどの安全設備が施されてからは、1970年に京都市電の稲荷線が廃止されて平面交差がなくなるまで、安全性が確保されていました。
by hideta-o (2020-03-23 08:29) 

hideta-o

nice!をいただいた皆様、ありがとうございます。
by hideta-o (2020-03-23 08:31) 

Take-Zee

こんにちは!
詳しいご説明ありがとうございます!
平面交差が実際に使われている風景は見たことが
なかったので危険かなと思ってしまいました!

by Take-Zee (2020-03-23 10:10) 

hideta-o

Take-Zeeさま
子どものころから大阪に住んでいて、しかも両親の実家が京都だったため、京阪特急はよく利用しており、この3つの平面交差は、そのたびに通っていました。今となっては懐かしい思い出です。
by hideta-o (2020-03-23 20:35) 

ナツパパ

京津線の由来はそうだったのですね。
あのユニークな路線が今まで続いていてなによりですし、
京阪のもので発展したのも良かったです。
しかし、三条~蹴上の路面区間は惜しかったなあ。
by ナツパパ (2020-03-29 11:00) 

hideta-o

ナツパパさま
ご訪問ありがとうございます。
このシリーズでは、京津線の地下化あたりまでご紹介する予定です。今しばらくお待ちください。
by hideta-o (2020-03-30 22:06) 

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